香川県内で太陽光発電設備を所有していた方が亡くなった場合、その設備は相続財産として相続人が引き継ぐことができます。
ただし、土地や建物の相続手続きが終わったからといって、FIT認定や売電契約の名義が自動的に変更されるわけではありません。
太陽光発電設備を相続した後も売電を継続するためには、主に次の手続きが必要です。
- 太陽光発電設備を取得する相続人の決定
- FIT・FIP制度上の事業者変更
- 売電契約先への名義変更
- 売電代金の振込口座変更
- 土地や建物の相続登記
この記事では、香川県で太陽光発電設備を相続する方に向けて、手続きの流れや必要書類、注意点を分かりやすく解説します。
太陽光発電設備は相続財産になります
太陽光発電設備は、亡くなった方が所有していた財産として相続の対象になります。
対象となるのは、一般的に次のような設備です。
- 住宅の屋根に設置された太陽光発電設備
- 工場や倉庫の屋根に設置された太陽光発電設備
- 土地に設置された野立て太陽光発電所
- パワーコンディショナーなどの関連設備
- FIT・FIP認定を受けた発電事業上の地位
太陽光発電設備から売電収入が発生している場合、相続開始後の売電収入を誰が取得するかについても、相続人間で整理しておく必要があります。
建物を相続すれば太陽光パネルも自動的に相続できる?
太陽光パネルは、必ずしも建物の附属設備として当然に扱われるわけではありません。
そのため、遺産分割協議書には建物だけでなく、太陽光発電設備も相続対象に含まれることが分かるよう、明確に記載しておくことが重要です。
例えば、次のような形で対象を特定します。
被相続人が所有する〇〇所在の建物及び当該建物の屋根に設置された太陽光発電設備一式を、相続人〇〇が取得する。
野立て太陽光発電所の場合も、土地だけでなく、太陽光パネル、架台、パワーコンディショナーなどの発電設備一式を誰が取得するのか明確にしておきましょう。
資源エネルギー庁の資料でも、相続対象に発電設備が含まれていることを確認できる内容が必要とされています。
太陽光発電を相続したときの手続きの流れ
STEP1:太陽光発電設備の資料を確認する
まずは、亡くなった方が保管していた資料を確認します。
主に探したいのは、次の書類です。
- FIT・FIP認定通知書
- 設備IDが分かる資料
- 四国電力や売電先との契約書
- 売電代金の振込明細
- 太陽光発電設備の設置契約書
- 土地・建物の登記事項証明書
- 保守点検契約書
- 固定資産税関係の資料
特にFIT認定の変更手続きでは、設備IDや電子申請に関する情報が必要になります。
設備IDが分からない場合は、次の記事も参考にしてください。
STEP2:相続人を確認する
戸籍を収集し、法定相続人を確認します。
遺言書がある場合は、その内容を確認します。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、太陽光発電設備を取得する相続人を決定します。
相続人が複数いる場合でも、発電設備を共有にすると、その後の管理や売却、契約変更が複雑になりやすいため、実務上は一人の相続人が取得するケースが多いと考えられます。
STEP3:遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議書には、土地や建物だけでなく、太陽光発電設備を誰が取得するか明記します。
また、次の内容も必要に応じて整理しておくとよいでしょう。
- 発電設備一式の取得者
- FIT・FIP認定上の地位を引き継ぐ者
- 売電契約上の権利義務を引き継ぐ者
- 相続開始後に発生した売電収入の帰属
- 発電設備に関係する債務や維持管理費用の負担
設備の所在地、設備ID、認定出力などを記載しておくと、対象となる発電設備を特定しやすくなります。
STEP4:FIT・FIP認定の事業者変更手続きを行う
太陽光発電設備を取得する相続人が決まったら、再生可能エネルギー電子申請システムで、事業者の変更手続きを行います。
資源エネルギー庁の2026年4月1日更新の整理表では、相続による事業者変更は、一般的な売買による事業譲渡とは異なり、事後変更届出の対象として整理されています。
届出は、発電設備を相続した方が行います。
なお、相続以外にも、発電設備の出力や設置場所などを変更する場合は、別途、変更認定申請が必要になる可能性があります。同じ事業計画について複数種類の変更手続きを同時に行えない場合があるため、手続きの順番にも注意が必要です。
STEP5:売電契約の名義を変更する
FIT・FIP制度上の事業者変更とは別に、売電契約先への名義変更も必要です。
香川県では、四国電力送配電との系統連系に関する手続きに加え、実際に電気を買い取っている電力会社との契約変更が必要になる場合があります。
契約先によって必要書類や手続きの順番が異なるため、現在の売電契約書や振込明細を確認し、契約先へ問い合わせましょう。
一般的には、次のような書類を求められる可能性があります。
- FIT・FIP制度上の変更手続きが完了したことが分かる資料
- 相続関係を証明する戸籍
- 遺産分割協議書
- 相続人の本人確認書類
- 相続人名義の振込口座情報
FIT認定の相続手続きに必要な書類
資源エネルギー庁の整理表では、相続による事業者変更について、次の書類が基本資料として示されています。
被相続人の戸籍・除籍関係書類
亡くなった方の出生から死亡までの相続関係を確認するため、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などを準備します。
附票も必要とされており、附票がない場合は住民票の除票で対応できる場合があります。
法定相続人全員の戸籍謄本
相続人全員を確認するための戸籍謄本です。
被相続人と相続人の関係を一覧で証明できる法定相続情報一覧図を取得している場合は、被相続人と法定相続人の戸籍関係書類の代わりとして使用できる場合があります。
法定相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書や相続人全員の同意書に押印した実印を確認するために必要です。
遺産分割協議書または相続人全員の同意書
誰が太陽光発電設備を取得するのかを証明します。
太陽光発電設備が相続対象に含まれていることを確認できる記載が必要です。
土地の取得を証する書類
野立て太陽光発電所など、発電設備の事業用地を相続する場合は、土地の取得を証明する書類が必要になります。
案件によって、土地の登記事項証明書、遺産分割協議書、相続登記後の登記事項証明書などを使用します。
公正証書遺言がある場合は遺産分割協議書が不要?
公正証書遺言により、太陽光発電設備を取得する相続人が明確になっている場合は、遺産分割協議書を作成せずに進められる可能性があります。
ただし、資源エネルギー庁の整理表では、公正証書遺言により審査を行えるのは、届出者が相続対象となる発電設備の所有権を有することが明らかであり、適切な審査ができる場合とされています。
遺言書に「土地及び建物」とだけ書かれており、太陽光発電設備の扱いが明確でない場合は、追加資料を求められる可能性があります。
相続の場合、住民説明会は必要?
相続による事業者変更は、事業譲渡、合併、会社分割などによる事業者変更とは異なります。
資源エネルギー庁の「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」では、事業譲渡等による認定事業者の変更について説明会等を求めていますが、その対象には相続を含まないと明記されています。したがって、相続による事業者変更のみを理由として、再エネ特措法上の説明会等を行う必要はありません。
ただし、相続と同時に設置場所や認定出力などの重要事項を変更する場合は、変更内容によって説明会または事前周知措置が必要になる可能性があります。
相続後の売電収入は誰のものになる?
相続開始後に発生した売電収入の扱いも整理が必要です。
太陽光発電設備を誰が相続するか決まるまでの間も、売電収入が発生することがあります。売電収入の帰属や、維持管理費、修繕費などの負担について相続人間で認識が異なると、トラブルにつながる可能性があります。
遺産分割協議では、設備そのものだけでなく、相続開始後に発生した売電収入の扱いについても合意しておくことをおすすめします。
税務上の扱いについては、所得税や相続税の問題が関係するため、税理士への確認も必要です。
太陽光発電設備にローンが残っている場合
太陽光発電設備の設置費用について融資やローンが残っている場合、その債務も相続の対象になる可能性があります。
相続前に、次の事項を確認しましょう。
- ローンの残高
- 契約者
- 担保設定の有無
- 団体信用生命保険の有無
- 売電債権への譲渡担保設定の有無
太陽光発電設備の収益性だけでなく、残債や維持管理費、将来の廃棄費用まで確認したうえで、相続するかどうかを検討する必要があります。
太陽光発電設備を相続しない場合
太陽光発電設備に多額の債務や管理負担がある場合、相続放棄を検討するケースもあります。
ただし、相続放棄は太陽光発電設備だけを選んで放棄する手続きではありません。原則として、被相続人のプラス財産とマイナス財産をまとめて放棄することになります。
相続放棄には、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内という期限があります。相続放棄を検討する場合は、早めに弁護士や司法書士へ相談しましょう。
香川で太陽光発電を相続するときの注意点
香川県での相続でも、FIT・FIP制度上の手続きは全国共通です。
一方、売電契約や系統連系の手続きでは、四国電力送配電や現在の買取事業者との確認が必要です。
また、野立て太陽光発電所を相続し、将来的に次の変更を予定している場合は、香川県や設置場所の市町への確認が必要になることがあります。
- 土地の追加や削除
- 太陽光パネルの増設
- 認定出力の変更
- 設備の移設
- 盛土・切土を伴う工事
- 設置場所に関係する許認可の変更
単純な相続手続きなのか、相続と同時に事業計画も変更するのかによって、必要な手続きが変わります。
まとめ
香川県で太陽光発電設備を相続した場合、土地や建物の相続だけでなく、FIT・FIP認定上の事業者変更や売電契約の名義変更も必要です。
手続きの基本的な流れは、次のとおりです。
- 発電設備やFIT認定に関する資料を確認する
- 相続人を確定する
- 太陽光発電設備の取得者を決める
- 遺産分割協議書などを作成する
- FIT・FIP制度上の事業者変更を届け出る
- 売電契約と振込口座の名義を変更する
特に、遺産分割協議書には、土地や建物だけでなく、太陽光発電設備も相続対象に含まれることが分かるように記載することが重要です。
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