太陽光発電を検討している方の多くが、まず気になるのが「FIT制度とは何か」という点ではないでしょうか。制度名は知っていても、実際にどんな仕組みで、誰が対象になり、どんなメリットや注意点があるのかまでは、意外と分かりにくいものです。
この記事では、太陽光発電のFIT制度について、基本の仕組みから対象区分、近年よく比較されるFIP制度との違いまで、初めての方にも分かりやすく解説します。資源エネルギー庁の制度資料でも、FIT制度は「再生可能エネルギーで発電した電気を、一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度」と整理されています。
FIT制度とは
FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が支える制度です。対象となるのは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つで、国が定める要件を満たした事業計画に基づいて新たに発電を始める事業者が利用できます。
この制度が設けられた背景には、再生可能エネルギーの普及促進があります。太陽光発電は環境面でのメリットが大きい一方、設備費や工事費など初期投資がかかります。そこで、売電価格と売電期間の見通しを立てやすくすることで、導入を後押しするのがFIT制度の大きな役割です。参考コラムでも、FITは「投資回収の予測を立てやすくする制度」として説明されています。
太陽光発電では何が買い取られるのか
太陽光発電でFIT制度を使う場合、設備規模や設置形態によって、買取対象が変わります。資源エネルギー庁の2026年度ガイドブックでは、住宅の屋根に載せるような10kW未満の太陽光や、ビル・工場の屋根に載せるような10kW以上50kW未満の太陽光は、自家消費後の「余剰電力」が買取対象になると説明されています。
この点は、太陽光発電を事業として考えるうえで重要です。つまり、「発電した電気がすべて売れる」とは限らず、区分によってはまず自家消費が前提になるということです。特に近年は、単純な売電目的だけでなく、電気代削減と組み合わせた導入が重視される傾向にあります。
FIT制度を支える再エネ賦課金
FIT制度で買い取られる電気の費用は、電気利用者から広く集められる「再エネ賦課金」によって支えられています。資源エネルギー庁は、再エネ賦課金を毎月の電気料金の一部として負担する仕組みとして説明しており、単価は毎年度設定されます。2026年度の賦課金単価も2026年3月に設定されたことが公表されています。
再エネ賦課金は負担として見られがちですが、制度全体としては再生可能エネルギーの普及を進め、日本のエネルギー自給率の向上や化石燃料依存の低減を図るための仕組みです。制度の趣旨まで理解しておくと、FIT制度を単なる「売電制度」としてではなく、エネルギー政策の一部として捉えやすくなります。
FITとFIPの違い
近年はFITだけでなく、FIP制度という言葉もよく見かけます。FITは国が定めた価格で買い取る仕組みですが、FIPは市場価格に一定のプレミアムを上乗せする制度です。資源エネルギー庁の価格ページでも、FITは「調達価格」、FIPは「基準価格」と整理されており、制度の考え方が異なります。
太陽光発電をこれから始める方にとっては、まずFITを理解することが出発点ですが、今後の制度動向を考えるとFIPの存在も無視できません。特に事業用太陽光では、区分や年度によってFITの対象外になるケースも出てきているため、最新の制度区分を確認しながら進める必要があります。2026年度の価格資料では、地上設置の事業用太陽光(10kW以上)について、2027年度以降は原則として新規認定対象とならない旨が示されています。
2026年度時点で押さえておきたいポイント
2026年度の制度を見ると、住宅用太陽光や屋根設置太陽光では「初期投資支援スキーム」が採用され、価格の考え方が少し変わっています。一方で、地上設置の事業用太陽光は今後の新規認定の扱いが厳しくなる方向です。つまり、同じ「太陽光発電」でも、住宅用・屋根設置・地上設置で実務上の前提がかなり違うということです。
そのため、太陽光発電の記事を書く場合は、「FIT制度はこういう制度です」と総論だけで終わらせず、どの規模・どの設置形態を想定しているのかを明確にしたほうが、読者にとって分かりやすい記事になります。参考コラムでも、住宅用と事業用を分けて解説しているものが多く、この切り分けは実務上も有効です。
まとめ
FIT制度は、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を後押しするために、一定価格・一定期間の買取を支える制度です。もっとも、2026年度時点では、設備規模や設置場所によって対象や条件に差があり、制度を一律に理解するだけでは不十分です。
これから太陽光発電を検討する方は、まず「自分の案件がどの区分に当たるのか」を確認し、そのうえで認定申請や売電条件を詰めていくのが大切です。

