宿泊者名簿は必須!高松市で旅館業・簡易宿所を開業する前に知るべきルールと罰則を徹底解説(香川県向け)

目次

1. 宿泊者名簿って何?なぜ必要なのか?

旅館業(簡易宿所・旅館・ホテル・下宿営業)を始めると、
必ず備え付けなければならないものがあります。

それが 宿泊者名簿 です。

宿泊者名簿は「ただのチェックリスト」ではなく、
法令で定められた 義務 であり、
違反すると「許可取り消し」や「罰則」の対象となる重要書類です。

なぜ名簿が必要なのか?

理由は大きく3つ:

  1. 感染症・災害時に宿泊者を迅速に把握するため
  2. 警察・行政が必要なときに参照するため
  3. 旅館業法に基づく営業者の義務だから

宿泊者を適切に管理しなければ、
旅館業そのものの安全性が保てないため、
全国どこでも厳しくチェックされます。

特に、香川県・高松市は旅館業の運用に厳格な自治体であり、
名簿の不備は、立入検査時に最も多い指摘事項の一つです。


2. 宿泊者名簿を備える義務の法的根拠(旅館業法)

宿泊者名簿の義務は以下の法律で明確に定められています。

●旅館業法第6条

営業者は、宿泊者名簿を備え、
次の事項を記載し、必要があれば提出しなければならない。

●旅館業法施行規則 第4条の2

名簿は正確に記載し、
作成の日から3年間保存すること。

また、記載場所は下記と規定されています:

  1. 旅館業の施設
  2. 営業者の事務所

つまり、
自宅や別の倉庫に保管していると違反になります。


3. 宿泊者名簿に記載すべき内容(高松市も全国共通)

絶対に記載しなければならない項目は以下のとおり。

  • 宿泊者の氏名
  • 住所
  • 連絡先(携帯電話番号など)
  • 宿泊日
  • 退去日
  • 部屋番号などの利用情報
  • 国籍・旅券番号

(日本に住所がない外国人の場合)

これらは全国共通ですが、
高松市では、必要に応じて追加項目を求められることもあります。

外国人については、
パスポートの写しを保存すれば記載の一部を省略できるという特例があります。

4. 宿泊者名簿の「よくある間違い」と実地検査での指摘ポイント

実務で最も多く見られるミスをまとめると次の通り。

●① 電話番号が未記入

「緊急時に連絡できないため」必ず必要です。

●② 外国人なのにパスポート番号が書かれていない

不完全な名簿と判断されます。

●③ 宿泊・退去日の記載漏れ

旅館業法上の必須項目。

●④ 過去の名簿を3年保存していない

保存義務違反。

●⑤ 施設ではなく別の場所(自宅など)で保管している

これも違反になります。

●⑥ グループ客の情報を1行でまとめてしまう

→ 一人ひとり個別に記載する必要があります。

●⑦ 予約サイトの予約情報を名簿代わりにしている

→ そのままでは名簿として認められません。
(必要項目が足りないため)

名簿の不備は、
軽い違反に見えて実は非常に重い指摘項目です。


5. 紙の名簿でもOK?電子名簿の取り扱いは?

結論:
紙でも電子でもどちらでもOK。

ただし、条件があります。

●紙名簿のメリット

  • 手軽に導入できる
  • 書類として見やすい
  • 行政の立入検査で見せやすい
  • 高齢の利用者でも書きやすい

●電子名簿のメリット

  • 入力が正確
  • 保存・検索が簡単
  • 外国人の記入ミスを減らせる
  • クラウド管理で紛失リスク減
  • 多店舗運営でも一元管理できる

【電子名簿の注意点】

  • サーバー障害に備えバックアップ必須
  • 停電・通信障害など不測の事態に対応が必要
  • プライバシー管理の体制整備が必要
  • 保健所の立入検査で即座に提示できる状態でなければならない

高松市は比較的柔軟ですが、
「名簿を出せない状態」が最も問題とされます。


6. 宿泊者名簿の「保存」ルール(3年間)とは?

名簿は「作成日から3年間」保存しなければなりません。

例:
2025年4月1日宿泊 → 2028年4月1日まで保存

保存形式

  • 紙のファイル保存OK
  • PDF保存もOK
  • 電子的データもOK

ただし、
削除・紛失のリスクがあるクラウド保存には注意が必要です。

名簿は行政が要求したときに即時提出できることが条件ですので、
クラウド管理でもスマホだけでは不十分なことがあります。

7. 宿泊者名簿の「開示請求」が来た場合

行政が名簿の提出を求めるケース:

  • 感染症発生時
  • 行方不明者の捜索時
  • 犯罪捜査への協力要請
  • 行政調査

この場合、
営業者は提出義務があります(旅館業法6条)

ただし、
一般の宿泊者や第三者が名簿の開示を求めてきても、
開示してはいけません(個人情報保護)。

8. 宿泊者名簿を怠るとどうなる?罰則について

宿泊者名簿の不備は「軽い違反」と思われがちですが、
旅館業法では想像以上に重い扱いです。

●宿泊者名簿を備えていない

→ 旅館業法違反
→ 指導 → 改善命令 → 罰則の可能性あり

●虚偽記載

→ 罰則対象
→ 場合によっては営業停止命令の可能性も

●未保存(3年保存義務違反)

→ 行政指導/改善命令
→ 悪質な場合は許可取消もあり得る

高松市は特に旅館業の適切な運用を重視しており、
宿泊者名簿の不備は数ある指摘の中でも
最優先で改善を求められる項目です。

9. 民泊(住宅宿泊事業法)の宿泊者名簿との違い

民泊(住宅宿泊事業法)でも宿泊者名簿は義務ですが、
旅館業とは少し異なります。

●民泊の名簿の特徴

  • 民泊制度運営システム(電子管理)が基本
  • 定期報告のためのデータが必要
  • 旅館業ほど詳細な設備基準はないが、名簿義務は同等に厳しい

旅館業と民泊で名簿ルールを混同するとトラブルになります。

10. まとめ:宿泊者名簿は高松市の旅館業で最も大事な義務のひとつ

宿泊者名簿は「形式だけ」ではなく、
旅館業の安全と信用を守るための重要な書類です。

  • 名簿の記載漏れ
  • 保存不足
  • 外国人のパスポート情報不備
  • 名簿の紛失
  • 電子名簿の提示不可

こうしたミスは、
許可の取り消しや罰則につながる可能性があります。

しっかりとした名簿管理ができてこそ、
安心・安全な宿泊施設運営ができます。


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