はじめに:営業所の条件、意外と知られていません
建設業許可の申請で、「経営業務の管理責任者」「専任技術者」「財産的基礎」などに比べて地味に見える要件──それが「営業所(事務所)の設置条件」です。
ですが、この“営業所要件”を軽視してしまうと、
✅「設備が不十分でNG」 ✅「住所を借りただけで実体なし」 ✅「現場しかないから事務所にならない」 といった理由で、申請が差し戻し・不許可になるケースが実際にあります。
この記事では、建設業許可に必要な「営業所(事務所)」の具体的な要件と、認められる・認められないケース、整備のポイントを詳しく解説します。
建設業における「営業所」とは?
建設業法施行規則第2条第1号では「営業所」について以下のように定義されています:
「請負契約の見積り、入札、契約締結等の業務を常時行う事務所で、建設業の許可申請において専任技術者が常勤する必要のある場所」
つまり、単なる住所登録だけでは不十分で、実際に事業活動が行われる拠点でなければなりません。
実体のある営業所に必要な条件とは?
以下のような要件が「実体のある営業所」として求められます(参考:香川県建設業許可の手引き 、および複数の行政書士実務サイト)。
必須項目チェック:
- 契約・見積書の作成ができる机・椅子・PC等の設備
- 電話・FAX・コピー機などの通信設備
- 帳簿・書類等を保管する棚やキャビネット
- 外部から認識できる看板や表札(会社名)
- 許可票を掲示するスペース
- 郵便物を受け取るポストの設置と配達実績
- 専任技術者が常勤勤務するスペース(就労証明が可能な体制)
NGとされやすい営業所の例
NGパターン | 内容と理由 |
---|---|
バーチャルオフィスや共有スペースのみのレンタルオフィス | 占有性・継続性が確認できない |
自宅の一室だが、業務空間として区切られていない | 家庭用スペースとの混同により実体不明と判断される |
工事現場や倉庫を「営業所」として届け出 | 契約締結・事務処理の実態がないため不適格 |
書類上は存在するが、看板や設備がない | 写真審査や現地調査で却下される可能性あり |
建設業法では「事務所の実体」が求められ、形式だけの届け出では不許可になるリスクがあります。
自宅や賃貸物件を営業所にする場合の注意点
自宅兼営業所の場合:
- 明確に業務専用スペースとして区画されているか(家族の生活空間と区別)
- 看板・許可票掲示・通信設備等が完備されているか
- 郵便物が届き、公共料金契約が事務所名義になっているか
- 用途地域(都市計画)による営業制限がないか
賃貸オフィスを使う場合:
- 賃貸契約書に「事務所使用可」の記載があること
- シェアオフィスでも専有スペースであれば可(共同利用はNGの場合あり)
- 備品が事務所側で準備されており、写真で設備状況を示せるかが重要
写真提出と現地調査:ここが見られている!
建設業許可申請では、営業所の写真提出が必要な場合があります(香川県では写真貼付台紙への添付)。
写真で確認されるポイント:
- 事務机・PC・電話・書類棚などの設備があるか
- 看板(社名入り)や入口の表示があるか
- 郵便受けと住所の一致(公共物との関係も確認)
- 許可票を掲示できる壁面があるか
- 専任技術者が勤務できる空間か(面談時に確認されることも)
よくある誤解:「作業場」や「倉庫」は営業所にならない
✅ 建設機材の置き場、資材倉庫、仮設現場などは営業所ではありません!
建設業法上の営業所は「契約を行う機能」が必要です。現場や資材置場は、建設工事の遂行上必要でも、許可の申請上は認められません。
専任技術者の“常勤”も営業所の一部要件
営業所においては、専任技術者が常勤で勤務している必要があります(建設業法施行規則第2条第1号)。
✅ 確認される書類:
- 出勤簿・タイムカード
- 給与明細・源泉徴収票
- 健康保険や雇用保険の加入履歴
- 勤務実績の説明書
「別会社と兼任」「非常勤」「契約内容が曖昧」などはNGです。
まとめ:営業所は「契約行為ができる実体空間」が必須
- 営業所=単なる住所ではなく、実際の業務空間
- 契約・見積書類のやりとりができるかが問われる
- 備品・職員・看板・郵便などの“生活感あるリアルさ”が重要
- 香川県や他県では写真での判断が多く、見せ方もポイントに
ご相談ください
「この場所で申請できる?」「営業所ってどう整えればいい?」といったお悩みも、事前相談で解決できます。
✅ 写真・契約書チェックから、整備アドバイスまで対応可能 ✅ 香川県のローカルルールにも対応 ✅ 提出書類・貼付台紙の作成まで一貫サポート
どうぞお気軽にお問い合わせください。