はじめに:ここでつまずくと全てが水の泡?
建設業許可の要件には、経営業務の管理責任者や専任技術者、財産的基礎など、具体的な証明が必要なポイントが複数あります。
しかし、それらをすべてクリアしても、最後に待ち受けているのがこの2つのチェックポイントです。
- 「誠実性」
- 「欠格要件」
名前はシンプルですが、実際には「どういう基準なのか分からない」「過去に何かあったけど大丈夫か?」といった不安を持つ方が多く、ここで不許可になるケースも決して珍しくありません。
この記事では、建設業許可の最後の関門となる「誠実性」と「欠格要件」について、行政書士の視点で分かりやすく解説していきます。
「誠実性」とは?その意味と判断基準
建設業法第7条に定められた「誠実性」は、要するに「法令や社会的ルールを守っているか」ということです。
審査対象となるのは誰?
- 法人の場合:役員全員・支店長・営業所長など
- 個人事業主の場合:本人および代理人
誠実性を欠くと判断される例:
- 過去に建設業法違反をして行政処分を受けた
- 虚偽の申請や報告をしたことがある
- 社会保険に未加入(許可後の問題になることも)
ポイント:些細な違反でも繰り返されると「誠実でない」と判断されるおそれあり!
「欠格要件」とは?許可を取れない具体的な条件
建設業許可における「欠格要件」は、いわば「一定の問題がある人・法人には許可を与えません」というルールです。
欠格要件に該当する代表的なケース
- 禁錮以上の刑に処せられて、執行から5年以内の人
- 建設業法や会社法等の違反で、罰金刑を受けて5年以内の人
- 許可取消処分を受けて、5年を経過していない人
- 成年被後見人または被保佐人
- 暴力団関係者と取引関係がある(現在または過去)
- 偽装請負、名義貸しなどで処分を受けた
⚠️ 一人でも該当すると、会社全体で許可が下りない場合もあります!
よくある疑問:この場合、許可は取れる?
Q:昔、無許可営業をしていたことがあるが…
A:処分歴がなければ許可取得の可能性あり。ただし事実を隠すと虚偽申請となり、より重い処分に繋がります。
Q:以前に法人で取消処分を受けたが、今は別法人。
A:旧法人の責任者(代表者・役員)が現法人に関与していると、欠格要件に該当する可能性があります。
Q:交通違反や軽微な過料は影響ある?
A:基本的には関係ありません。ただし、違反が業務に関連していた場合(工事中の事故など)は注意が必要です。
誠実性・欠格要件の証明書類
許可申請時には、以下のような書類の提出が必要になります。
主な提出書類:
- 誓約書(欠格要件に該当しないことの宣誓)
- 身分証明書(市区町村で取得)
- 登記されていないことの証明書(法務局で取得)
- 役員全員・個人事業主本人分が必要
記載内容に虚偽があると、最悪の場合「5年間の再申請禁止」になる可能性も!
ケーススタディ:過去の違反歴がある場合の対応
事例1:5年前に下請法違反で注意を受けたが、行政処分なし
→ 処分がなければ申告の必要なし。今後のコンプライアンス体制が重要
事例2:3年前に建設業法違反で業務停止処分を受けた
→ 欠格要件に該当する可能性が高く、今すぐの申請は不可。5年経過後を待つ必要あり
事例3:元役員が過去に会社を倒産させた経験がある
→ それ自体は問題ないが、名義貸しや違反行為があった場合は調査対象に
自分で確認する方法と、プロに相談すべき理由
自分で確認する方法:
- 自治体の申請窓口で「誠実性・欠格要件に関する質問票」を確認
- 身分証明書や登記証明を役所・法務局で取得してチェック
プロに相談するべき理由:
- 「何が対象で、何が問題か」が専門的で判断しにくい
- 自己判断で隠して申請すると、後で大きなトラブルに発展する可能性がある
当事務所のサポート内容
- 過去の経歴ヒアリングとリスクチェック
- 必要書類の取得代行と申請書類作成
- 誠実性・欠格要件に関する申告内容の整備
- 将来の再申請に向けたプランニングも対応可能
まとめ:「最後の関門」をクリアして、確実な許可取得へ
- 誠実性と欠格要件は“人としての信用”を問う要件
- どんなに他の条件を満たしていても、ここで不許可になることも
- 曖昧な経歴や違反歴がある場合は、必ず事前に確認・相談を