はじめに
経営事項審査(経審)を受けると、最終的に「総合評点(P点)」という点数が算出されます。
この点数が、公共工事に参加できるかどうかの大きなカギを握ります。
では、この「評点」はどのように決まるのでしょうか?
今回は、経審で用いられる X・Y・Z・W という評価項目と、総合評点(P点)の仕組みをわかりやすく解説します。
1. 総合評点(P点)とは?
経営事項審査では、建設業者の経営力・技術力・社会性を数値化して「総合評点(P点)」を算出します。
この評点が高ければ高いほど、入札に参加できる工事の範囲やランクが広がり、公共工事を受注しやすくなります。
逆に、評点が低いと参加資格を満たせず、入札に参加できないこともあります。
👉 つまり、P点は「公共工事の入場券」のようなものです。
2. 総合評点(P点)の構成要素
P点は大きく分けて 4つの要素(X・Y・Z・W) と、その他加点要素から構成されます。
■ 総合評点(P点)の式
P点 = X(工事施工能力)+ Y(経営状況)+ Z(社会性等)+ W(完成工事高)+ 加点
3. X点:工事施工能力の評価
「どれだけの技術力を持っているか」を評価する項目です。
評価内容
- 技術職員の数と資格
一級・二級施工管理技士などの資格者数 - 元請工事成績
過去に行った公共工事の成績評定
ポイント
- 技術者の資格者数が多いほど加点
- 公共工事で高い成績を残すとプラス評価
👉 施工管理技士を採用・育成することが、X点アップの近道です。
4. Y点:経営状況の評価
会社の財務状況を評価する項目です。
財務諸表をもとに、いくつかの指標から点数が算出されます。
評価される主な指標
- 自己資本比率
- 利益率(営業利益/売上高)
- 借入金依存度
- 流動比率(短期支払能力)
- 利払能力 など
ポイント
- 赤字決算だとY点は低下
- 財務基盤が安定している会社は高得点
👉 財務の改善は時間がかかりますが、経審で大きく効くのがY点です。
5. Z点:社会性等の評価
会社が社会的責任を果たしているかどうかを評価します。
評価内容
- 法令遵守状況
- 社会保険・雇用保険・労災保険の加入
- ISO認証(品質ISO9001・環境ISO14001など)の取得
- 防災協定の締結
- 労働福祉の充実
ポイント
- 社会保険未加入は大幅減点!
- 防災協定やISO認証の取得はプラス加点
👉 法令遵守・社会性の強化が、Z点アップにつながります。
6. W点:完成工事高の評価
直近の完成工事高(売上)をもとに評価されます。
評価内容
- 過去の工事実績(直近2期分の平均)
- 元請工事・下請工事の比率
ポイント
- 施工実績が大きいほど高得点
- 公共工事の元請比率が高いと評価もプラス
👉 「仕事を受注する→完成工事高が増える→W点アップ→次の入札に有利」という循環を作ることが重要です。
7. その他の加点要素
上記に加えて、次のような要素で加点される場合があります。
- 女性・若手技術者の配置
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録
- 防災・地域貢献活動
👉 最新の制度改正では、多様性や地域防災への取り組みも評価される傾向があります。
8. 評点のバランスが大事
経審は「どこか1つが突出していればいい」というものではありません。
X・Y・Z・Wのバランスが取れていることが重要です。
- 財務は安定しているが技術者が少ない
- 工事実績は多いが社会保険に未加入
- 技術力は高いが赤字決算
こうした場合、総合評点が伸び悩みます。
👉 会社全体をバランス良く整えることが、P点アップの最短ルートです。
9. まとめ
- 経審の結果は「総合評点(P点)」として数値化される
- P点は X(技術力)+Y(財務)+Z(社会性)+W(実績)+加点 で決まる
- X点:技術職員数・公共工事成績
- Y点:財務状況(黒字・安定性)
- Z点:法令遵守・社会保険・ISO・防災協定
- W点:完成工事高(施工実績)
- 評点はバランスが重要!