目次
はじめに
経営事項審査(経審)は、公共工事の入札参加に必須の審査制度です。
しかし、「評点が思ったより伸びない…」「もう少し点数を上げて、より大きな工事に参加したい」と悩む建設業者は多いのではないでしょうか。
実は、評点を上げるための具体的な方法はいくつも存在します。
今回は、X(技術力)・Y(財務)・Z(社会性)・W(実績) の各分野ごとに、すぐに取り組める改善策を10個紹介します。
1. 技術者資格者を増やす(X点アップ)
- 一級施工管理技士・二級施工管理技士などの資格者を増員する
- 技術職員の在籍数がそのまま加点につながります
👉 資格取得支援制度を社内で整え、社員のスキルアップを後押しすることが有効です。
2. 公共工事での元請実績を積む(X点・W点アップ)
- 公共工事の成績評定(工事成績評定点)はX点に直結
- 元請としての工事実績はW点を高める
👉 小規模でもよいので、元請工事を確実に積み上げることが重要です。
3. 自己資本比率を改善する(Y点アップ)
- 借入金を減らし、資産を厚くすることで財務安定性が評価されます
- 毎年の決算対策が評点改善に直結
👉 無理な借入を避け、内部留保を増やす努力が必要です。
4. 黒字決算を継続する(Y点アップ)
- 赤字決算はY点に大きなマイナス
- 継続して黒字を維持することで評価が安定
👉 原価管理や経費削減など、日々の経営改善が点数アップにつながります。
5. 社会保険・雇用保険・労災保険への加入(Z点アップ)
- 保険未加入は大きな減点対象
- すべての従業員を適正に加入させることが必須
👉 加入証明書類を揃えておくことも忘れずに。
6. ISO認証の取得(Z点アップ)
- ISO9001(品質)、ISO14001(環境)などの取得で加点
- 発注者からの信頼度も向上
👉 認証取得はコストもかかりますが、中長期的なプラス効果が大きいです。
7. 防災協定を締結する(Z点アップ)
- 自治体との「防災協定」に参加すると加点
- 地域貢献度が評価される
👉 地元自治体と連携し、災害時の支援体制を整えることが有効です。
8. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用(Z点アップ)
- 技能者の就業履歴を登録する制度
- 国土交通省が普及を推進しており、評価対象に
👉 早めに導入することで加点のチャンスになります。
9. 女性・若手技術者を配置する(加点対象)
- 女性技術者や若手技術者の登用で加点
- ダイバーシティの推進としても評価される
👉 採用や配置の工夫で、将来的な点数アップにもつながります。
10. 工事実績を安定的に積み上げる(W点アップ)
- 完成工事高は過去2年の実績平均で評価
- 毎年安定的に工事を受注することが大切
👉 年度による波を抑え、安定した工事量を確保しましょう。
評点アップのまとめ
分野 | 改善策 |
---|---|
X(技術力) | 技術者資格者の増員、公共工事成績の向上 |
Y(財務) | 自己資本比率の改善、黒字決算の継続 |
Z(社会性) | 社会保険加入、ISO認証、防災協定、CCUS登録 |
W(実績) | 元請実績の積上げ、完成工事高の安定化 |
その他 | 女性・若手技術者の登用 |
よくある質問Q&A
Q. 評点アップはすぐにできる?
A. 技術者資格取得や防災協定は比較的短期間で加点可能。財務改善は中長期で取り組む必要があります。
Q. 小規模業者でも評点アップできる?
A. はい。社会保険加入、防災協定、ISO取得などは規模に関わらず加点可能です。
Q. どの要素から優先すべき?
A. マイナス要素(社会保険未加入・赤字決算など)をまず解消するのが第一歩です。
まとめ
- 経審の評点は、日々の経営努力や資格者育成で着実にアップできる
- 技術者資格・財務改善・社会性・実績の4本柱をバランスよく整えることが重要
- 取り組みやすい項目から順番に加点を目指すのがおすすめ