はじめに
経営事項審査(経審)は、公共工事の入札参加に欠かせない制度です。
しかし、申請に慣れていない業者は「書類不備」「期限切れ」「要件不足」といった理由でスムーズに進められず、入札資格を逃すケースも少なくありません。
今回は、これから経審を受ける方に向けて、よくある失敗例と注意点をわかりやすく解説します。
1. 決算変更届を出していなかった
失敗例
「決算は終わったけど、そのまま放置していた」
「経審を受けようと思ったら、前年の決算変更届を出していなかった」
注意点
- 建設業許可業者は、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了報告書)」を提出する義務があります。
- この提出がないと、経審は受けられません。
👉 経審の前に必ず決算変更届の提出状況を確認すること!
2. 有効期間を切らしてしまった
失敗例
「経審の有効期間が1年7か月と知らず、期限を過ぎてしまった」
「更新が間に合わず、入札参加資格を一時失効した」
注意点
- 経審の有効期間は 1年7か月。
- 実質的には 毎年申請する必要がある と考えましょう。
- 更新を切らすと、その間は入札に参加できません。
👉 カレンダーや管理表で更新期限を必ずチェックすること。
3. 技術者資格の不備・証明不足
失敗例
「施工管理技士の資格証明を提出し忘れた」
「資格はあるが、専任技術者として認められる条件を満たしていなかった」
注意点
- 技術職員数は X点 に直結する重要項目です。
- 専任配置や常勤性の証明が不十分だと加点されない場合があります。
👉 資格証明書・雇用関係証明(社会保険加入記録など)をセットで準備すること。
4. 社会保険に未加入だった
失敗例
「経費削減のため、社会保険に加入していなかった」
「一部の従業員だけ未加入」
注意点
- 社会保険未加入は Z点で大きなマイナス評価になります。
- 国や自治体も社会保険加入を強く求めているため、入札参加そのものに影響する可能性があります。
👉 加入状況を整備することが経審対策だけでなく会社の信用力にも直結します。
5. 財務状況の悪化を放置していた
失敗例
「赤字決算を続けていたが、そのまま申請」
「借入金が多く、自己資本比率が低いまま」
注意点
- 経営状況(Y点)は財務の安定性が評価されます。
- 債務超過や赤字が続くと評点が下がり、入札資格を満たせないことも。
👉 決算前から財務改善に取り組むことが重要です。
6. 書類不備・記載ミス
失敗例
「工事実績の記載漏れ」
「書類に押印が抜けていた」
「添付書類を忘れた」
注意点
- 経審は提出書類が膨大で、1枚の不備が補正・再提出の原因になります。
- 提出後に補正指示が出ると、時間も手間もかかります。
👉 提出前に必ずチェックリストで確認すること。
7. 会社の要件変更に対応していなかった
失敗例
「役員が退任したが変更届を出していなかった」
「経営業務管理責任者が退職していた」
注意点
- 建設業許可要件に直結する変更は、速やかに届出が必要です。
- 経審申請時に「要件不足」と判断されることもあります。
👉 役員・専任技術者・営業所変更などは必ず変更届を提出すること。
8. よくある質問Q&A
Q. 決算変更届を出していない年があるとどうなる?
A. 未提出分をすべて提出しないと経審は受けられません。
Q. 赤字決算のまま経審を受けても意味はある?
A. 点数は下がりますが、受けないよりは入札資格の継続につながります。
Q. 有効期限を切らしたらどうなる?
A. その時点で入札資格は失効。新たに経審を受け直す必要があります。
まとめ
経営事項審査でよくある失敗は、決算変更届の未提出・更新忘れ・資格や社会保険の不備・財務の悪化・書類不備などです。
どれも防ごうと思えば防げるものばかり。
- 決算変更届は毎年提出
- 経審は有効期間内に必ず更新
- 技術者の資格や社会保険の整備
- 財務改善を意識した経営
- 書類のダブルチェック
👉 これらを徹底すれば、大きなトラブルは回避できます。