目次
はじめに
「公共工事に参加したいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「建設業許可は取ったけど、その先の手続きが難しそうで不安」
そんな声をよく耳にします。
実は、建設業許可を取得しただけでは公共工事の入札に参加することはできません。
入札参加のためには 「経営事項審査(通称:経審)」 を受けることが必要です。
この記事では、建設業許可を取得したばかりの方や、これから公共工事を目指したい方に向けて、経営事項審査の基礎知識と申請の流れを徹底解説します。
1. 経営事項審査(経審)とは?
経営事項審査とは、国土交通大臣または都道府県知事が建設業者の経営内容を数値化し、公共工事を受注できる力があるかどうかを評価する制度です。
簡単に言えば、
👉 「この会社は公共工事を安心して任せられるか?」を客観的に点数化する仕組み。
審査の結果は「総合評点(P点)」として公表され、自治体や発注機関が入札参加資格を審査する際の基準になります。
2. 経審を受ける必要があるのはどんな業者?
- 公共工事の元請けとして入札に参加したい業者
- 既に建設業許可を取得していることが前提
- 民間工事だけを行う場合や、下請け専門の業者は受けなくてもよい
👉 「公共工事に挑戦したい!」と考える建設業者は、まず経審を受けることが必須です。
3. 経審で審査される内容
経審では、会社の経営力や施工能力をいくつかの項目に分けて数値化します。
評価項目(総合評点=P点の構成)
区分 | 内容 |
---|---|
X:工事施工能力 | 技術職員数、工事成績など |
Y:経営状況 | 財務諸表をもとに算定(自己資本比率、利益率など) |
Z:社会性等 | 法令遵守、社会保険加入、ISO認証、防災協定など |
W:工事施工実績 | 過去の完成工事高 |
その他加点 | 女性・若手技術者の配置、防災活動など |
👉 これらを総合的に計算し、最終的に「総合評点(P点)」が算出されます。
4. 経営事項審査の申請から評点算出までの流れ
ステップ1:決算変更届の提出
- 建設業許可業者は、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了報告)」を提出する義務があります。
- 経審を受けるためには、この提出が済んでいる必要があります。
ステップ2:経審申請書の作成・提出
- 提出先:本店所在地を管轄する都道府県庁(知事許可の場合)または地方整備局(大臣許可の場合)
- 提出書類例:
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
- 工事施工実績報告書
- 使用人数、保有資格者一覧
- 社会保険加入状況の証明
- ISO認証、防災協定締結書類 など
ステップ3:審査・評点算出
- 提出書類をもとに審査が行われ、各評価項目に点数が付与されます。
- 合計した「総合評点(P点)」が算出され、公表されます。
ステップ4:入札参加資格審査
- 算出された評点をもとに、各自治体や発注機関が入札参加資格を判断します。
- 評点が一定以上でなければ入札に参加できません。
5. 経審の有効期間
- 経審の有効期間は 1年7か月。
- つまり、実質的には 毎年受け続ける必要がある ということです。
- 有効期間を切らしてしまうと入札資格も失効してしまうため、継続的な申請が欠かせません。
6. 経営事項審査のメリット
- 公共工事の入札に参加できる
- 自社の経営状況や施工能力を客観的に把握できる
- 評点を高める取り組みが、経営改善や社員育成につながる
👉 経審は「入札参加資格」だけでなく、「会社の健康診断」としての役割も果たしています。
7. よくある疑問Q&A
Q. 経審は建設業許可と同じタイミングで申請できる?
A. 建設業許可を持っていることが前提なので、許可取得後に申請できます。
Q. 赤字決算だと経審は受けられない?
A. 赤字でも受けられますが、財務評価(Y点)でマイナスの影響があります。
Q. 評点を上げるにはどうしたらいい?
A. 技術者資格者の増加、財務改善、社会保険加入、ISO取得などが効果的です。
まとめ
- 経営事項審査(経審)は、公共工事入札に必須の制度
- 評価は「経営状況・技術力・社会性・実績」を総合的に点数化
- 有効期間は1年7か月、毎年申請が必要
- 公共工事を受注する第一歩として、早めに準備しておくことが大切