はじめに:「経営業務の管理責任者って何?」でつまずく人が多い理由
建設業許可の取得を目指す中で、最初のハードルとなりやすいのが「経営業務の管理責任者」、通称「経管」です。
この“経管”の要件はやや複雑で、
- どんな経歴が対象になるのか?
- 自分が該当するのか判断できない
- 証明書類をどう揃えるのか? といった疑問を持つ方が非常に多いポイントです。
この記事では、経営業務の管理責任者の要件と、証明の仕方をわかりやすく解説します。
経営業務の管理責任者(経管)とは何者か?
建設業許可を取得する際には、事業体(会社や個人事業主)に「経営業務の管理責任者」が常勤していることが求められます。
経営業務の管理責任者とは:
「建設業の経営に関する実務的な責任を担い、会社の経営方針や意思決定に関与していた人」
つまり、会社を経営していた人、または役員として経営に携わっていた人が対象になります。
令和2年10月の建設業法改正で、旧「経営業務の管理責任者の選任義務」は廃止され、 代わりに「経営業務の管理責任者が常勤していること」が要件化されました。
経管の対象になる経歴と条件
経営業務の管理責任者として認められるには、以下のいずれかの経歴が必要です。
法人の場合(代表者・役員など)
- 建設業に関して 5年以上の役員経験(取締役・代表取締役など)
個人事業主の場合
- 自らが建設業を 5年以上営んでいた 経歴がある
補佐経験がある場合
- 建設業の経営に関する業務を 6年以上補佐した経験 (例:執行役員、経理・現場管理職など)
なお、「建設業」とは建設業法に定められた29業種のいずれかを指します。
よくある勘違い・NG例
以下のような経歴は、経管として認められません。
- 飲食業や不動産業など、建設業以外の経営経験のみ
- 現場監督としての経験(技術者としては評価されるが経管では不可)
- 建設業を営む会社での 一般社員・アルバイト としての勤務
- 建設業の役員でも 登記されていない相談役や顧問
ポイント:形式的な肩書きだけでなく、実態として「経営」に関与していたかが重要です!
経管としての経歴をどう証明するのか?
「自分は経営していたつもり」でも、証明ができなければ許可は下りません。 証明資料の提出が非常に重要です。
よく使われる証明資料
資料の種類 | 内容・備考 |
---|---|
登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 役員としての在任期間を証明 |
確定申告書・営業実態資料 | 個人事業主の場合の営業証明 |
工事契約書・請求書・見積書 | 実際の建設業の実績を補完 |
退職証明書・業務経歴書 | 補佐経験の証明に活用 |
特に登記簿謄本は、会社設立時から現在までのすべてを取り寄せるのが安全です。
具体的な証明方法の手順(ケース別)
ケース1:法人代表として5年以上経営していた
→ 登記簿謄本で就任日から5年以上経過していることを証明 → 加えて、建設業を営んでいた証拠(工事契約書や請求書など)も用意
ケース2:個人事業主として建設業を5年以上営んでいた
→ 開業届や確定申告書(営業期間) → 工事台帳、見積書、請求書など → 業種が建設業であることの説明資料
ケース3:経営補佐経験がある
→ 退職証明書に「建設業の経営に関与した業務内容」を明記 → 勤務期間が6年以上あること → 経理・総務・現場管理職などの業務実態が分かる資料
注意:証明資料の「内容」と「期間」の両方が揃っていないと不備扱いされます!
経管がいない場合の対処法
「うちは経管になれる人がいない…」というケースでも、いくつかの対応策があります。
① 新たに経管要件を満たす人材を採用する
→ 他社での役員経験者などをスカウト
② 親族や取引先の中から協力を仰ぐ
→ 一時的に役員就任してもらい、証明資料を揃える
③ 行政書士に相談し、過去の経歴を調査・整理
→ 一見該当しないようでも、証明次第で要件を満たせることも
経管がいない=即アウトではありません!過去の経歴の掘り起こしがカギです。
自力での証明が難しいと感じたら
証明資料の形式・内容に不備があると、申請は差し戻しになります。 「この資料で足りるのか?」「他に何を出せばいいのか?」と悩んだら、行政書士の力を借りるのが最も確実です。
当事務所のサポート内容:
- 経歴ヒアリングと要件該当性の無料診断
- 必要な証明資料の洗い出しと取得方法のご案内
- 不足資料の補完提案(補佐業務の経歴書作成など)
- 申請書類の一括作成・提出代行
まとめ:経営業務の管理責任者は建設業許可の“最初の関門”
経営業務の管理責任者の要件を満たせるかどうかは、許可取得の成否を分ける最重要ポイントです。
- 自分や会社の経歴をしっかり振り返る
- 証明資料を正確に揃える
- 必要なら専門家に相談する
こうした対応が、スムーズな建設業許可取得への近道になります。