大臣許可と知事許可の違いは?建設業許可を自分で取る前に知っておきたい基礎知識

目次

はじめに

建設業を始める、または事業拡大のために建設業許可を取得しようと思ったとき、
まず直面するのが「大臣許可と知事許可、どちらを選べばいいのか?」という疑問です。

「そもそも何が違うの?」「どんな基準で分けられているの?」「自分の会社はどちらを取ればいいの?」
このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、大臣許可と知事許可の違いをわかりやすく解説し、
どちらを申請すべきか、自分で許可取得を目指す人にも役立つポイントや注意点まで詳しくご紹介します。


1. 建設業許可とは?

まず前提として、建設業許可制度について簡単におさらいしておきましょう。

建設業許可とは、一定規模以上の工事を請け負う際に、都道府県知事または国土交通大臣から受ける必要がある許可です。

  • 500万円(建築一式は1,500万円)以上の工事や、建築一式工事で延べ面積150㎡超の木造住宅工事を請け負う場合、必ず許可が必要です。
  • 「軽微な工事」しか請け負わない場合は不要ですが、ほとんどの建設業者が許可を取得しています。

ここで登場するのが「大臣許可」「知事許可」という2つの区分です。


2. 大臣許可と知事許可の違いとは?

■ 大臣許可(国土交通大臣許可)とは

  • 2つ以上の都道府県にまたがって営業所を設置している場合に必要な許可
  • 国土交通大臣が管轄・許可を出す

【例】

  • 本店が香川県、高松市にあるが、大阪府にも営業所を持つ場合
  • 全国展開の建設会社、支店展開している企業

■ 知事許可(都道府県知事許可)とは

  • 1つの都道府県のみに営業所がある場合に必要な許可
  • 本店も支店も、全て同じ都道府県内にある場合
  • 管轄する都道府県知事が許可を出す

【例】

  • 香川県高松市に本店、観音寺市に支店。いずれも香川県内
  • 東京都内のみで事業展開している場合

■ 「営業所」って何?

ここで重要なのが「営業所」の定義。
この営業所とは、単なる現場事務所や一時的な施設ではなく、**常時事業活動を行う拠点(支店・本店・営業拠点)**を指します。


3. 自分はどちらを申請すべき?簡単判定フロー

Q1. 営業所が複数県にあるか?

  • はい → 大臣許可
  • いいえ → 知事許可

Q2. 工事現場が他県にあるが、営業所は一県のみの場合は?

  • 知事許可でOK!
  • 許可の区分は「営業所の所在地」で決まります。工事現場の場所は影響しません。

Q3. 今後他県に営業所を設ける予定がある場合は?

  • 設置した時点で大臣許可が必要です。現在は知事許可でもOKですが、営業所開設のタイミングで切替手続きが必要です。

4. よくある間違い・勘違い

■ 「現場が他県でも知事許可でいいの?」

→ **OKです。**工事現場の都道府県は関係ありません。
大事なのは「営業所(常設の事務所)」の所在地です。

■ 「出張所、現場事務所は営業所になる?」

→ 基本的に営業所とは認められません。
常時事業活動を行い、従業員や電話・帳簿管理などがなされている場所だけが営業所です。


5. 大臣許可と知事許可のメリット・デメリット

● 大臣許可のメリット

  • 全国どこでも営業展開できる(営業所を増やしやすい)
  • 信用度が高い(全国展開の証明となる)

● 大臣許可のデメリット

  • 申請書類が多い・手続きが煩雑
  • 審査期間が長い(2〜3か月ほどかかる場合も)
  • 費用も知事許可より若干高い(手数料・証紙代など)

● 知事許可のメリット

  • 申請が比較的シンプル
  • 管轄の都道府県窓口で直接相談しやすい
  • 審査期間が比較的短い(1〜1.5か月ほど)

● 知事許可のデメリット

  • 他県に営業所を新設する場合は、許可の切替が必要
  • 信用面で「全国展開」に見劣りする場合も

6. 許可取得の流れ(大臣・知事共通)

  1. 要件確認
    • 経営業務管理責任者、専任技術者、財産的基礎など
  2. 必要書類の準備
    • 法人謄本、住民票、納税証明書など
  3. 申請書の作成
    • 様式は大臣・知事で若干異なる
  4. 申請・受付
    • 知事許可→都道府県庁 大臣許可→地方整備局
  5. 審査・補正対応
    • 不備や追加書類要求への対応
  6. 許可証交付

※詳細な必要書類や要件は、今後別記事で詳しく解説します。


7. 「大臣許可」「知事許可」よくあるQ&A

Q. 将来的に他県展開を考えている場合、最初から大臣許可を取った方が良い?
A. 現在営業所が1県のみなら知事許可で十分。新たに他県で営業所を設置した時点で大臣許可に切替が必要です。

Q. 工事現場が全国各地にあるが、営業所は1県のみの場合は?
A. 知事許可でOKです。営業所の所在地が基準です。

Q. 申請の難易度はどちらが高い?
A. 大臣許可の方が手続きや書類が多く、難易度も若干高い傾向です。

Q. 行政書士など専門家に依頼するメリットは?
A. 大臣許可は特に専門家に依頼するケースが多いですが、知事許可でも要件が複雑な場合や事前相談でプロのチェックを受けると安心です。


8. まとめ

大臣許可と知事許可の違いは「営業所の設置場所の都道府県数」で決まります。
・2つ以上の都道府県→大臣許可
・1つの都道府県のみ→知事許可

初めて建設業許可を取ろうとする場合、ほとんどの方が「知事許可」からのスタートになります。
今後の事業展開や営業所設置の計画に合わせて、適切な区分で申請を進めましょう。

自分で申請を検討している方は、「どの許可が必要か」まずはしっかり確認を。
迷ったら各都道府県の建設業担当窓口や、専門家への相談もおすすめです。

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